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東京家庭裁判所 昭和32年(家)13285号 審判 1957年12月12日

国籍 アメリカ合衆国ミシガン州住所東京都

申立人 クレーマン・ジェームス・バーンストーン(仮名)

本籍 宮城県住所申立人に同じ

未成年者 武山久礼人(仮名)

主文

申立人が未成年者を養子とすることを許可する。

理由

本件申立人は未成年者の実母である武山清子と昭和三十二年九月○十○日婚姻し、その後は未成年者とも同居し養育しつつ現在に至つたものであるが、その間未成年者に対して実子に等しき愛情を持続し来つたもので、この際未成年者を養子とし将来は本国にも連れ帰つて義育したい希望をもつて本件申立をしたものであつて右の事実は当裁判所における事実調査によりこれを認めることができる。

仍て法令適用について検討するに、本件養親は米国人であり、養子は日本人であるから、我が法例第十九条第一項第二項により日米両国の法令を適用して審理審判すべき処、本件申立は民法第七百九十八条第二項但書により裁判所の許可を得ずして、その縁組が有効に成立する要件を具備する揚合であるがミシガン州法によれば、養子縁組に対する裁判所の裁決は養子縁組成立要件であるので、家事審判法九条甲類七号の養子縁組許可審判とは若干の相違がある。

しかし養子縁組に関する事項については日本国裁判所は現に日本国に滞在居住している本件申立人に対して裁判権を有し、従つて米国ミシガン州法により裁判所の裁決事項とせられたものについては、日本国裁判所も亦これに対して裁判権をもつものと解する。然し乍ら抽象的裁判権も具体的審判手続規定の存しないところには事実上その裁判権の行使は否定せられると解すべき処、家事審判法第九条甲類七号は養子縁組に対する判断手続を規定したものであり、その許可効力についてはミシガン州法の裁判所の許可と差違があつても、その形式においてミシガン州法に類似するから本条を類推適用して処理審判すべきものとする。

仍て主文の通り審判する。

(家事審判官 村崎満)

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